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【交通安全ニュース解説コラム】第58回 無理は禁物

明けましておめでとうございます。ディ・クリエイトの上西です。
今年も、みなさんが事故に巻き込まれることなく、また、事故を起こすこともなく過ごせるよう、事故防止についてお話ししていきたいと思います。

昨年12月中旬、広島市で認定こども園のバスが中央分離帯を乗り越えて100メートルほど逆走し、対向車線を走行中の車4台と衝突した後、中央分離帯の樹木にぶつかって停止する事故がありました。
ブレーキ痕はなかったそうです。
幸い、亡くなった方はいませんでしたが、運転者は重傷、園児の数人と対向車に乗っていた4人が怪我をしました。
続報で判明したのですが、運転者は朝から体調不良だったらしく、朝の送迎でもうろうとしながら運転する様子がドライブレコーダーに映っていたそうです。
昼休みの間に病院で点滴を打って、午後からの送迎バスの乗務に就いたということでした。

道路交通法第66条

体調が悪い時にはなるべく車の運転はせずに、別の移動手段を使うことをおすすめします。
風邪薬などには眠気を誘発する成分が含まれているものも多く、運転中に眠気に襲われた場合、今回のような事故を起こしかねないからです。
道路交通法第66条に、「過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない」と定められています。
この薬物とは、睡眠導入剤や風邪薬、花粉症の薬など、市販薬はもちろん、処方される時に医師より「眠気を感じるおそれがある」と言われたものも含みます。
どうしても車の運転をしなければならない予定がある時には服用を控えるか、あるいは、服用しなければならないのであれば、その後の運転を控えてください。
広島市の事故では死者は出ませんでしたが、意識がもうろうとした状態で運転をすると、死者が出てもおかしくない事故を起こす可能性は十分にあるのです。

ちょっと体調が悪いなという日は、「ゆっくり」を心がける

明らかに体調が悪い日ではなくても、少し調子が悪い日というのもあると思います。
熱もないし病気でもない、眠気を誘発する薬を飲んでいるわけでもない。
でもちょっとだるいなという日やしんどいなという日です。
そういう時は、判断能力が落ちていると思いますので、動作をゆっくり確実にするようにしてください。
車の運転をする場合は、速度を落として、いつも以上に車間距離を空けてください。
そのためには、時間に余裕を持つことも必要です。
年始で、業務に追われる慌ただしい時期かもしれませんが、体調が万全ではないのならなおさら、事故を起こさないためにも「ゆっくり」を心がけてください。

悲惨な交通事故の加害者にも被害者にもならないために、自分が今、正常な運転ができるかどうかを冷静に判断してください。

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執筆:上西 一美
株式会社ディ・クリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター

1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。

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