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【交通安全ニュース解説コラム】第59回 冬季のトンネル走行と、車内への荷物持ち込み

みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
年明けから各地で車複数台が絡む多重事故が多発しています。
1月16日、岐阜県飛騨市にある東海北陸自動車道のトンネル内で、路線バスやトラックなどを含む7台が絡む事故があり、12人が病院へ運ばれました。
事故当時、雪が降っていて視界が悪かったそうです。

運転者は雪道などを走行する際、スリップ事故などを恐れて速度を抑えますが、トンネル内で路面に雪がなくなると、遅れた分を取り返すべく通常速度に戻す傾向があります。しかし、トンネル出口で再び雪に備えて速度を抑える運転者が多いので、渋滞が発生しやすくなります。
トンネル内には雪は降っていないとはいえ、走行している車から落ちた雪などで路面は濡れた状態、あるいは凍結した状態になっているため、停止距離は長くなります。そのため、出口付近の渋滞に追突する事故が起こるのです。
トンネルでは、急減速や停止する車両がいることを想定して、走行するようにしてください。
また、上記の理由からハイドロプレーニング現象が起こり、車が制御不能となる可能性もあります。
スリップして追突や衝突をしないよう、通常より速度を抑え、車間距離も多めに取るようにしてください。

車に積んだ荷物が命を奪う

1月19日には阪神高速湾岸線下りで、非常に痛ましい事故が起こりました。
渋滞で停車中だった軽自動車に大型トラックが追突し、軽自動車は前に停車していたタンクローリーとの間に挟まれて数十cmの厚さにまで押しつぶされてしまいました。
軽自動車に乗っていた2人は亡くなりました。
大型トラックの運転者は、警察の調べに対して「車内の荷物が落ちたので、よそ見をしてしまった」と話しているそうです。

どのような状態で荷物を積んでいたのかは不明ですが、同様の事故は数多く起こっています。
数年前にも、19日の事故と同じように乗用車2台が大型車に挟まれ、運転者2名が死亡する事故が発生しており、事故原因は、追突した車両の運転者が、足元に落ちた携帯電話に気を取られてよそ見をしてしまったことでした。

今回の事故のように、物が落ちた時、人はとっさにそちらを見てしまったり、拾おうとしたりしてしまうことがあります。
荷物は、できれば後部座席に置き、助手席に置くのであればシートベルトなどで固定してください。
座席にポンとおいた携帯電話や財布、バインダーが、ブレーキを踏んだタイミングや右左折のためにハンドルを切った際に滑り落ちることもあります。
そういったことが起こらないよう、荷物の置き方にも気をつけてください。
ダッシュボードの上に沢山の荷物を置いている車両も多く見かけます。
これは落下の危険性はもちろん、視界を妨げてしまうことにもなります。
道路交通法の第55条では「乗車若しくは積載のために設備された場所以外の場所に積載をして車両を運転してはならない」と定められています。そもそも、ダッシュボードにものを載せること自体が法令違反なのです。
人の命を守るためにも、ダッシュボードへの積載は絶対にしないでください。

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執筆:上西 一美
株式会社ディ・クリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター

1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。

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