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【交通安全ニュース解説コラム】第22回 重大事故になりやすい自転車との事故

みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
そろそろ子供たちは夏休みですね。普段とは行動パターンが変わってきますので、運転をする際にはいつも以上に子供たちの挙動に注意したいところです。
今回は、子供たちもよく利用する自転車がテーマです。

自転車事故というと、中学・高校生の年代に多いとよく言われますが、実は高齢者の自転車事故も多く発生しています。
私が交通安全サポーターを務めさせていただいている愛知県警察では、愛知県における令和3年中の自転車事故の7割が、高齢者であったという資料が発表されています。
そもそも自転車に乗っている高齢者の割合が高いという事も、事故件数に影響しているとは思います。
事故映像を分析していると、自転車に乗っている人は、転倒する際にハンドルから手を離さない事が非常に多いです。
人間はとっさの時に、受け身を取るか何かにしがみつくという習性がありますが、事故の瞬間にハンドルを強く握りしめるために、受け身が取れないではないかと思います。

車が低速でも重大事故に

過去に分析した映像の中には、時速2~3kmの、ほとんどアクセルを踏んでいない状態の車が自転車にぶつかり、自転車に乗っていた高齢女性が亡くなってしまった事故がありました。
とっさに受け身を取れない事もありますが、高齢者は筋力が弱っているため、転んだ際に尻もちで終わらずに完全に転倒してしまい頭を打ってしまうケースも多く、その頭部の外傷が原因で亡くなることもあるのです。
この他にも、徐行で時速7kmにまでスピードが落ちている状態で自転車と接触して、自転車の方が1か月間意識不明になった事故もありました。
被害者の方は、意識が回復した後に4年間リハビリしたのですが、足に障害が残って以前のようには歩けなくなってしまいました。
このように、高齢者の方の乗る自転車との事故では、接触しただけでは終わらず大きな事故になる可能性が高いです。

ヘルメットの着用と法令遵守

また、愛知県警察の統計では、自転車事故における死者の約8割がヘルメット非着用であったという結果が出ています。
みなさんが自転車に乗る時はもちろん、高齢の方やお子さんには必ずヘルメットを着用していただきたいですね。
ヘルメット一つで命が守れるのですから、ぜひ着用するようにしてください。
同様に数値が高かったのが、自転車側の法令違反です。
死亡事故の9割以上に法令違反がありました。
特に自転車の飛び出しですね。
車列の間から飛び出すようなケースでは、車側も回避するのはなかなか難しいです。
車がスピードを落としていても、歩行者よりも速度が出ている自転車が相手では、危険度はやはり高いのです。
面倒くさくても、急いでいたとしても、自転車で道路を横断する時は横断歩道まで行って渡るようにしてください。

みなさんは普段車で移動されることの方が多いので、道路交通法では、停止車両などがあり安全が確認できないような状況では徐行しなければならないと義務付けられていることも、ご存じだと思います。
車を運転している時にも、自転車事故に見られる傾向を意識しながら自転車の動向に注意を払っていただければ、事故を未然に防ぐこともできるのではないかと思います。

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執筆:上西 一美
株式会社ディクリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター

1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。

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