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【交通安全ニュース解説コラム】第56回 過信禁物

みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
11月21日、福岡県で軽乗用車が歩行者を次々にはね、運転者を含む9人が搬送される事故がありました。
事故は通勤・通学の時間帯である午前8時過ぎにJRの駅の近くで起こっており、20代の男性と付近の高校に登校中だった生徒7人が怪我を負い、4人は顔や足の骨を折るなどの重傷、事故の第一当事者である運転者は足を骨折したということでした。
また、搬送されなかったとはいえ、周囲には事故のショックで座り込む学生もいたようです。
防犯カメラに事故当時の映像が残っていたのですが、片側1車線の県道を走行中だった車が、反対車線へとはみだし、そのまま逆走をしてスピードを落とすことなく路側帯へと突っ込んでいく様子が映っていました。
運転者は夜勤を終えて帰宅途中だったとのことなのですが、警察は、居眠り運転特有の蛇行運転が確認されていないことから、運転者が走行中にすでに意識を失っていた可能性もあると見ているようです。
また、その後の取り調べにおいて、運転者にてんかんの持病があったことが判明しており、警察では事故との関連を調べています。
福岡の事故から数日後、東京都の代官山で80代が運転する車が、ガードレールに衝突し、そのまま歩道へと突っ込み、歩行者4人が怪我を負う事故がありました。
運転者は「覚えていない、記憶にない」と話しているそうです。
こちらの事故原因もまだ分かっていませんが、アクセルやブレーキの踏み間違いや速度超過による運転操作ミス、あるいは体調不良などが考えられます。

過信と気の緩みが事故を招く

道路を逸脱するような事故は、速度超過やながら運転、居眠り運転など制御ができなくなる状態で起こることが多いです。
福岡の事故では、かなりの速度のまま逆走をして路側帯に入り込んでいます。
東京の事故でも、ガードレールを弾き飛ばすほどの勢いで衝突をしているので、相当なスピードが出ていたと思います。
いずれの事故も原因は捜査中とのことですが、事故の状況からみると、何らかの理由により操作が正常にできない状態で衝突したと考えられます。
病気などの理由以外にも、アクセルとブレーキを踏み間違え、一時的にパニックになってしまった場合や、ながら運転をしていたためにとっさに反応ができなかったりすることがあります。
「自分は絶対に大丈夫」という過信や「ほんの1~2秒だから」という気の緩みで、取り返しのつかない事故を起こしてしまうかもしれません。
また、加齢により身体能力は低下します。
視力や反射神経は40代から低下していくと言われています。
車を運転しなければならない事情が個々にあるとは思いますが、自分の体が加齢によるリスクを抱えていることを踏まえたうえで運転をしてください。

事故の大小は運転者が決められない

軽微な事故で済むか、人が亡くなるような重大事故を起こしてしまうかは、運転者が決められることではないのです。
持病がある方は、自分が運転しても良い状態なのか確認を怠らないでください。
ながら運転や速度超過は絶対にしないでください。
中央車線がなく道幅が狭い道路、特に歩道と車道の区別がない道路では、速度を抑えて走行するよう心がけてください。
速度超過の状態で操作ができなくなると、歩行者と衝突して大惨事となる事故を起こしてしまいます。
誰かが亡くなってからでは、遅いのです。
事故を起こさないための運転行動を、常に行うようにしてください。

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執筆:上西 一美
株式会社ディ・クリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター

1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。

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