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【交通安全ニュース解説コラム】第47回 電動キックボード

みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
7月6日、大阪市西区の交差点で、電動キックボードとトラックの衝突事故が発生しました。
電動キックボードの運転者(30代)からは、基準値を超えるアルコールが検出されたそうです。
また、7月7日には、北海道東川町のサイクリングロードで電動キックボードの事故が発生しました。
こちらの事故に関しては、運転者が道路に転倒している状態のところを発見され、詳しい事故状況についてはまだ分かっていません。
電動キックボードの種類としては特定小型原動機付自転車ではなく、免許が必要なもので、これまでの原動機付自転車と同じ交通ルールが適用される種類のものだったようです。
発見時にはヘルメットは装着された状態ではなく、付近に落ちていたということです。
運転者は、重い脳挫傷で意識ははっきりしない状態となっています。

道路交通法を知らない可能性もある

7月1日から道路交通法の一部が改正され、原動機付自転車の一類型である「特定小型原動機付自転車」が創設されました。
これにより、一部の原動機付自転車、いわゆる電動キックボードと呼ばれる乗り物で、最高速度が20㎞/h以下のものは、16歳以上であれば運転免許を取得していなくても乗れることになりました。
これはつまり、道路交通法を学んでいなかったとしても、乗れてしまうということです。
移動手段が増え、便利になると同時に、交通事故リスクが上がることにもつながります。

特定小型原動機付自転車は、基本的には車道を走行するように定められていますが、最高速度が6㎞/hである特例特定小型原動機付自転車の基準をすべて満たしていれば、「普通自転車等及び歩行者等専用」の道路標識等が設置されている歩道や路側帯を走行することが可能となります。
このような条件で走行できる乗り物に対して、車両の運転者が取れる事故防止のための運転行動は、自転車に対する事故防止と同じです。

車両側の取れる事故防止運転行動

大きな交差点では、横断歩道上にいる電動キックボードだけでなく、歩道上を走行して交差点に向かっている電動キックボードにも注意を払ってください。
特に、右側から来る電動キックボードは、左側の巻き込み確認をしている2秒の間に、12m先から目の前へと移動してきています。
左側の確認が終ったら、アクセルを踏む前にもう一度右側の安全確認をしてください。

また、生活道路においては、出合い頭の事故を防ぐためにも、必ず徐行した状態で交差点に進入するようにしてください。安全が確認できない場合は、たとえ自車側が優先だったとしても、一時停止をしてください。
電動キックボード等は車体が小さいため、少しの段差でも転倒します。
追い抜く際は、十分な間隔を取って徐行して追い抜くか、車線変更をして安全を確保してから追い抜くようにしてください。

みなさんが電動キックボードに乗車する場合には、ヘルメットを必ず着用するようにしてください。
ヘルメットの着用はあくまで「努力義務」ではありますが、ヘルメット未着用では死亡率が2.5倍上がると言われています。
命を守るためにも、しっかり着用してください。

車両よりもはるかに安く購入できる電動キックボード等は、今後ますます普及することが考えられます。
電動キックボードの運転者が道路交通法について学んでいない可能性があることや転倒のリスクがあること等を考慮して、事故防止に努めるようにしてください。

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執筆:上西 一美
株式会社ディ・クリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター

1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。

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