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【交通安全ニュース解説コラム】第26回 コミュニケーションの重要性

みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
弊社では交通事故防止のセミナーや講座を開催しています。
その中に、事故撲滅トレーナー養成講座という管理者向けの講座があります。業務で車両を使用する企業様向けに、社内に私と同じ事故防止の専門家を置いていただくことを目的として開催しており、ドライブレコーダー映像の分析ノウハウや道路交通法について学んでいただいています。
先日、この講座の活動報告において、受講生から「これまで以上に社員とコミュニケーションが取れた」という話がありました。
実は、管理者と運転者との日常的なコミュニケーションは、交通事故防止に非常に大きな役割を果たしています。

コミュニケーションが事故防止の要

みなさんの会社でも、年に数回程度は交通事故防止のための研修や勉強会などを行っていると思います。しかし、事故を起こさないための運転行動というのは、たった1度の指導では身につきません。習慣になるまで繰り返し運転者に伝えていかなければならないのです。毎日の点呼時における対話で、管理者と運転者がしっかりと向き合って対話し、その中で事故防止の運転行動について伝え続けることが大切なのです。
毎回、事故防止についての話をする必要はありません。時には他愛ない話だけで運転者を送り出しても良いのです。信頼関係は、コンタクトする回数が多いと強くなります。短くてもいいので毎日必ずコミュニケーションを取るようにしてください。
信頼関係ができると、相手の言葉は素直に耳に入ってくるようになると思います。そのような関係性の中で、事故防止のためにどのような運転をしなければならないかを伝えていくと、行動改善に繋がりやすいのです。
さらに、管理者と運転者がコミュニケーションを密に取ることで、労務トラブルや離職の防止にもなります。どの問題においても、根底には相手との信頼関係が影響しているからです。

走行中のコミュニケーション

“コミュニケーション”という観点でお話しすると、運転中の運転者同士においても、ウィンカーやハザード点灯、パッシングなど、様々な方法でコミュニケーションが取られています。
最近メディアで話題になった「茨城ダッシュ」という走行をみなさんはご存じでしょうか。信号が青になった瞬間に、直進車よりも先に右折してしまう非常に危険な走り方です。茨城県で多く見られるためか、ご当地の名称で呼ばれています。この走行方法は、道路交通法によって禁止されています。どうしてこのような走り方が見られるようになったのか調べてみると、その一説に、昔は道が狭くて右折車線がない場所が多く、右折を待っていると後ろの車両がまったく進めないという状況になりやすかったため、直進車が右折車に譲っていたという話がありました。現在では非常識な走り方として話題に上る「茨城ダッシュ」ですが、元々は思いやりを持った運転者間のコミュニケーションによって生まれた走り方だったようです。しかし現在では、右折車の一方的で強引な走行による「茨城ダッシュ」が横行しているようです。非常に危険な運転行動であり、大きな事故になりやすいので絶対にしないでください。

もう一つ、運転者間のコミュニケーションで気を付けていただきたいことがあります。
直進車が右折車に譲った際に起こってしまう事故、俗に言う「サンキュー事故」です。譲ってくれた直進車の陰から、バイクや自転車、歩行者などが出てきて、右折車と接触してしまう事故のことですね。みなさんが右折する際に、もしも直進車に道を譲ってもらったのであれば、直進車の延長線上で一時停止をして安全確認をするようにしてください。

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執筆:上西 一美
株式会社ディクリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター

1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。

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