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【交通安全ニュース解説コラム】第38回 事故を防ぐためには多くの想定を持っておくことが大事

みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
2月中旬、東京都の目黒で、自転車に乗っていた方がタクシーの開いたドアにぶつかって転倒し、後続の路線バスにはねられて死亡するという事故が起きました。
タクシーの運転者は、お客さんの荷物をトランクに積み込むために車外へ出ようとドアを開けたそうです。その際、後方確認がおろそかになってしまったと証言をしていました。

この事故に関しては、状況的に非常に稀なケースではありますが、三者ともが気をつけるポイントがあったと思います。
まずタクシーですが、ドアを開ける時に後方確認を怠ったのは大きな過失です。
これは道路交通法違反にあたります。
道路交通法第71条(運転者の遵守事項)の四の三に「安全を確認しないで、ドアを開き、又は車両等から降りないようにし、及びその車両等に乗車している他の者がこれらの行為により交通の危険を生じさせないようにするため必要な措置を講ずること」と記載されています。つまり、運転者自身の行動はもちろんのこと、同乗者の行動に対しても、運転者が気をつけなければならないと法律で定められているのです。
つまり、運転者自身の行動はもちろんのこと、同乗者の行動に対しても、運転者が気をつけなければならないと法律で定められているのです。

次に、自転車やバイクで停車している車の横を通り抜ける場合の注意点ですが、ドアが開くかもしれない、という想定を持つようにしてください。
KYT(危険予知トレーニング)では、停車中の車の向こう側から人が出てくるというような予測は、よくあるケースだと思います。想定する危険の中に、「車両のドアが開いて人が降りてくるかもしれない」というケースも今後は入れるようにしてください。
そしてもう一つ、併せて気をつけていただきたいポイントがあります。
危険を回避するために車両から距離を取って横を通り抜ける際には、必ず後方の安全確認をしてください。
これまでにドラレコの事故映像を何万件も分析してきましたが、後方確認をしないまま進路変更をした自転車が車両と接触してしまう事故を、たくさん見てきました。
必ず事前に安全確認を行ってください。

最後はバスに関してですが、正直、今回のようなケースを想定するのはなかなか難しいことだとは思います。
前方を走る自転車やバイクが「転倒するかもしれない」と思いながら走行している人は、とても少ないのではないかと思います。
私の人生を変えることになったドライブレコーダーの映像も、東京で起きた事故と同じような事故でした。
首都高速を走行していたバイクが中央分離帯に激突して転倒し、後続のタクシーがひいてしまうというもので、その映像を見た時に、私はとても恐ろしくなりました。
バイクが転倒するかもしれないということは、それまで一度も想定したことがなかったからです。
同じ状況に置かれた時、私が後続車であれば映像のタクシーと同じくバイクの運転者をひいてしまっただろうと思い、自分の運転が恐ろしくなったのです。

その瞬間から、私の運転行動が変わりました。
前方を走るバイクや自転車を見かけたら、相手が転倒することを想定して、安全な車間距離を取るようになりました。
万が一、バイクや自転車が転倒したとしても運転者を「守れる」ようにです。

事故を防いで命を守るために、想定を増やし、車間距離を確保してください。停止や発進、右左折や進路変更、ドアの開閉など何か行動を起こす時には、安全をしっかりと確認したうえで、行うようにしてください。

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執筆:上西 一美
株式会社ディクリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター

1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。

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