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【交通安全ニュース解説コラム】第35回 色々な事態を想定しておくことが重要

みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
1月12日に、奈良県の京奈和自動車道・橿原高田インターチェンジ出口付近で、19台もの車が絡む事故がおきました。自動車道から一般道に出るために信号待ちで停車していた車列に、タンクローリーが追突し、その衝撃で次々と車が衝突してしまいました。15人の方が病院に運ばれましたが、みなさん軽傷ですんだそうです。事故原因はタンクローリーの運転者のわき見運転だったとのことです。
幸い死亡事故にはなりませんでしたが、死者が出てもおかしくないような事故でした。

高速道路でも車が停止することはある

高速道路における交通事故で追突が多いのは、そもそも高速道路では車が止まる事態を想定せずに運転しているからだと考えられます。
高速道路上では車は止まらないという前提で運転しているため、前方の車両のブレーキランプが光ったとしても「前の車がブレーキを踏んではいるが、止まることはないだろう」という思い込みをしてしまい、運転者のブレーキを踏むタイミングが、一般道路の時と比べて遅くなっているのではないかと思います。
私自身、高速道路で追突しかけた経験があります。私が運転している車の2台前の車が事故を起こしてしまい、事故車と私の間の車がブレーキを踏んだのですが、私は事故の状況も見えていませんでしたし渋滞情報などもなかったので、その車が止まると思っていなかったのです。ですから、反応が遅れてしまい、追突しかけてしまいました。
高速道路では一般道よりもスピードが出ています。仮に時速80kmで走行していたとして、ブレーキを踏むタイミングが1秒遅れるとそれだけで22mも前に進んでしまいます。
前の車両のブレーキランプが点灯したら、すみやかにブレーキを踏むようにしてください。高速道路上であっても、事故や渋滞などで車が停止していることがあると想定して運転するようにしてください。
渋滞中の列に追突すると非常に大きな事故になります。スピードが出ているために衝撃が大きく、相手にダメージを与えやすいのです。特に居眠りが原因であったりすると、スピードが落ちないまま衝突しますので、死亡事故に繋がりやすいです。
高速道路上では眠気のピークを迎える回数が多く、一説には2時間ごとにそのピークが来るとも言われています。眠気を感じたら無理をせずにサービスエリア等で仮眠を取るようにしてください。あまり長く眠ると逆効果となりますので、仮眠時間は10分から15分で十分です。仮眠を取ることと併せて、一度車両から出て気分転換をすることもおススメします。

想定を増やして事故を防止する

これまでに高速道路での交通事故映像も数多く分析してきましたが、ETC出口で直前に割り込んできて急停止する車両に追突してしまった映像や、本線から出口方向への分岐地点で車両が停止していたり、分岐地点を通り過ぎた車両がバックして来たために衝突する映像など、想定外の動きをする車に巻き込まれてしまう事故もありました。
間違えたことで軽くパニックになって、割り込んだり急停車したりしてしまうと思われますが、ETCレーンやサービスエリアの出入り口付近ではそういうことも起こり得るかもしれないと想定するようにしてください。
渋滞の最後尾についた場合や、事故直後の現場などで自身が停止しなければならない状況に遭遇した場合は、ハザードランプをつけて後続車に知らせ、追突のリスクを回避してください。
私のYouTube番組では、ドライブレコーダーの事故映像を元に、事故原因の分析と事故防止のための運転行動についての解説を行っています。中には本当に驚くような運転をする車両が映っている事故動画もあります。
そういった動画を見ることで、ご自身の中の「想定」を増やして事故防止に繋げてください。

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執筆:上西 一美
株式会社ディクリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター

1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。

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