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【交通安全ニュース解説コラム】第23回 横断歩道での事故

みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
最近また歩行者との交通事故のニュースが増えているように感じます。
中には、青信号で横断歩道を渡っていた高校生をひいて怪我を負わせたにもかかわらず、加害車両はそのまま走り去ってしまったという事故もありました。

歩行者優先の法律

信号のある横断歩道では、もちろんみなさんは信号を守り安全に走行していると思います。
では、信号のない横断歩道の近くでは、どのような運転をしていますか?
道路交通法第38条には、人がいないことが明らかな場合を除き、停止できる速度で進行するようにと書かれています。
横断歩道の手前にはひし形のマークが二つ、路面に描かれています。
私がいつもお伝えしているのは、一つ目のひし形マークでアクセルオフ、二つ目のひし形マークで停止できる速度まで減速しようということです。

以前YouTubeで紹介した交通事故動画の中に、信号のない横断歩道を渡ってきた小学生をひいて怪我を負わせてしまうというものがありました。
事故が起きた時、対向車線には渋滞で車列ができていて、横断歩道の右側が車で死角になって見えない状態になっていました。
対向車で横断歩道上に人がいるか見えない場合はどうしたらよいのか。
道路交通法には減速しなさいとは書いてありません。
法律上の義務としては、「停止できるような速度で進行すること」と書かれています。
「徐行」とは書かれていないので、10km/h以下にまで落とす必要はないかもしれません。
私がセミナーでお話しする時には、二つ目のひし形の所では、15km/hまで速度を落としてくださいとお伝えしています。

速度が上がると死亡率も上がる

運転するのであれば、道路交通法で定められている義務に関しては、きちんと把握していただきたいと思います。
義務付けられていることを知らずに法律違反を起こしてしまうことがないように、気を付けてください。
対歩行者との交通事故では、車の走行速度が10km/h上がる度に、相手の死亡率が3倍ずつ上がっていきます。
時速20km/hから30km/hで人をはねてしまうと、死亡率は0.9%です。
しかし、速度が30km/hから40km/hでは、死亡率は2.7%になります。
さらに10km/h速度が速くなり、40km/hから50km/hになると7.8%にもなるのです。
時速15km/hで走行するというのは、人の命を奪ってしまう可能性を極めて低くすることにつながるのです。

道路交通法第38条の2では「交差点又はその直近で横断歩道の設けられていない場所において歩行者が道路を横断しているときは、その歩行者の通行を妨げてはならない」とも定められています。
残念ながら、横断歩道のない場所を横断中に交通事故に遭うというのは、高齢者の方により多く見られます。
車を運転する者の義務として、横断歩道がない場所でも歩行者がいる「かもしれない」という前提で運転することが、事故防止につながるのです。
学校が夏休みに入り、子供たちの日中の外出が増えています。
今まで以上に歩行者に気を付けて、交差点や横断歩道付近ではいつでも停止できる速度で走行するよう心掛けてください。

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執筆:上西 一美
株式会社ディクリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター

1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。

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