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第7回:なぜショートカットがダメなのか

前回に引き続き、なぜ事故防止にドライブレコーダーの映像が有効なのかについてお話します。
第6回では、道路交通法に基づいた軌道で右折しなければならないという事例を紹介しました。ではなぜ、ショートカットをしてはいけないのか。
ショートカットをすると死角になる範囲が広くなってしまうからです。

死角を少なく

運転席からの視界には、どうしてもピラーとミラーが入り込みます。早くハンドルを切ると、図【1】のような角度で、ピラーとミラーの死角ができます。
一方、道路交通法の通りに交差点の中心の内側を走行すると、死角は図【2】のような角度になります。

ショートカットをするドライバーは、死角を長く作ってしまう行動パターンを持っているということです。この運転習慣を持つドライバーには、死角を意識するよう指導する必要があります。ハンドルを早く切るとリスクが高いので、大きく曲がるような運転習慣を身に付ける指導をしなければなりません。

映像によって事実確認がきちんとできると、指導も方向性を間違うことなく的確に行えます。これもドライブレコーダーの映像を使用するメリットの一つです。

道路交通法34条でなぜショートカットを禁止しているかというと、死角を極力少なくするためだけでなく、対向車線に出ている時間を短くするためでもあります。人は自然とショートカットをする傾向がありますので、右折の仕方をしっかり確認していただきたいですね。

映像はイメージのズレをなくす

ここまで、ドライブレコーダーの映像を使用すると「事実確認が正確にできる」、「指導が的確にできる」という2つのメリットについてお伝えしましたが、最大のメリットはやはり「映像で情報を提供できること」です。

文字や言葉だけで伝えると、イメージするものは人それぞれ違っているため、理解度や解釈が変わってしまいます。

ところが、映像で見せるとダイレクトに情報が伝わります。事故の状況や原因そして対策を説明する時に、映像があることで相手の理解をより深められるのです。

例えば、みなさんは「東京駅」と聞いて何が思い浮かびますか?

東京駅の象徴である赤レンガや、新幹線によく乗る人は新幹線、タクシー乗り場を思い浮かべる方もいるかもしれませんね。

僕は東京駅と聞くと「東京バナナ」しか出てこないんですよ。独立したての頃に駅で買った事が強く記憶に残っているからだと思います。

東京駅と聞くと、僕は東京バナナしかイメージしていません。ですが、新幹線を連想した人もいますよね。そうすると僕はその人に「なんで東京バナナやないんですか」と言うわけです。でも逆にみなさんからしたら「なんで東京バナナなんだ」となる。

人は、文字から連想するイメージで記憶していきます。これはすごく大事なポイントです。文字から連想するものがみんな同じであればいいのですが、連想するイメージは人の記憶によるところが大きいのです。ですから、同じ文字を見てもイメージが違うと理解と解釈が変わってくるわけです。

感覚で行う運転に対して、文字や理論だけで伝えてもなかなかイメージができません。心に残らないのです。

ダイレクトに映像(イメージ)で伝えていくことが、事故防止の指導では非常に重要なのです。

次回は自動車対人の事故についてお話したいと思います。

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執筆:上西 一美
株式会社ディクリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター

1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。

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