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【交通安全ニュース解説コラム】第14回 バック中の事故に潜む危ない意識

みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
先月下旬、高齢女性がコンビニ店の駐車場で後退中の車にはねられて亡くなりました。
このような背面通行中の事故、いわゆるバック事故は、年間でも意外と多く起こっています。
警察庁の発表によると、令和2年の一年間で背面通行中の事故において70件もの死亡事故が起こっています。
過去に、交通事故総合分析センターが平成20年から平成29年までの後退事故の発生状況を調べているのですが、それによると、死亡事故が610件、重傷事故が1万840件、軽傷事故はなんと26万654件も起こっているのです。

事故の大小はコントロールできない

バック事故だけでなく、人を死亡させてしまうような重大事故を起こしてしまう人や会社に共通して言えるのは、それまでにも軽微な事故や交通違反を繰り返している傾向がある、ということです。
事故の重大さを理解できていないために、事故を繰り返すのです。
人間というのは物事を結果で考えてしまいがちです。しかし事故においては結果だけに注目していると、改善はできません。
結果で考えてしまうというのは、結果が良ければそれでいいという考えを持ってしまっているということです。
例えば、車両対バイクの事故でも、バイクの運転者が軽傷で済む事故もあれば、死亡事故になってしまう事故もありますよね。状況的にどちらも左折時の巻き込みだったとすると、運転者のミスは左の後方不注意であり、確認動作と同時にハンドル操作をしている事です。いずれの事故においても、運転者のミスは同じなのです。ですから、事故の結果だけをみて軽傷事故だったからと特に対策をしなければ、運転者は同じミスを犯してまた事故を起こすのです。
事故の結果が軽傷事故か死亡事故かの違いになるのは、被害者とどのような状態で接触したのか、そして転倒した後に被害者がどこにぶつかったのかで変わってきます。つまり、運転者がコントロールできない条件によって重大事故かそうでないかの違いがでるだけであって、運転者のミス自体には何も違いがないのです。
車をぶつけてしまった相手が、転倒した後にガードレールや街路樹に激突して重傷を負うことも、最悪の場合死亡してしまうこともあります。これは、加害側の運転者は絶対にコントロールできません。

重要なのは結果ではなく経過

結果で考えてしまう人は、自分の運転の仕方が重大事故を引き起こす要素を持っているにも関わらず、軽微な事故で終わってしまうと事態を軽く考えてしまうのです。根本的な運転行動を改めることもなく、事故を繰り返してしまうのです。
特にこの「結果で判断して安易に考えてしまう」傾向が出やすいのは、冒頭にお話ししたバック事故ではないかと思われます。
バック事故の中には、電柱やブロック塀などにぶつかるといった物損事故も多くあります。人に怪我を負わせていないので、ちょっとした不注意で車に傷をつけてしまった、物を壊してしまったとだけ考えてしまいがちです。しかし、ぶつかる相手が物か人かは運転者がコントロールできない事です。たまたま物だったから軽微な事故で済んでいるだけなのです。
事故は結果の大小だけに注目するのではなく、事故を起こしてしまった原因とその経過についてしっかりと考えて、運転行動を見直して改善していかなければなりません。
軽微な事故だったからと「たまたま」そうなったという結果だけを見て軽く考えていると、いつか大きな事故を起こしてしまいます。
ヒヤリハットや軽微な事故のうちに、あるいは警察に検挙された時点で、運転行動を改めるようにしてください。それが死亡事故を防ぐ最大のポイントになります。
警察が検挙するということは、自分では気づかないうちに不安全な行動をしているという事です。それを他者が指摘してくれているのです。知らない間に事故を起こす体質を作ってしまっていることもあります。検挙された時点で、必ず運転行動を見直してください。
結果に捕らわれずに、自分の運転習慣や企業内の安全管理の体制、そして運行管理について一度見直してみてください。

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執筆:上西 一美
株式会社ディクリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター

1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。

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