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【交通安全ニュース解説コラム】第53回 薄暮の時間帯

みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
9月21日から30日は「秋の全国交通安全運動」期間でした。
最終日の9月30日は「交通事故死ゼロを目指す日」とされているのですが、今期は残念ながら10名もの方が亡くなられました。
警察庁で交通事故の統計を取り始めたのは、今から55年前の1968年なのですが、これまでにたった1日ではありますが、全国で交通事故死がなかった日がありました。
それは、2021年の4月8日です。
この日は、日本国内で、誰一人として、交通事故で亡くなることがありませんでした。
警察庁が統計を取り始めてから53年目にして初めて達成できたことでした。
私が目指しているのは、まさにこの奇跡のような1日を「当たり前」にする世の中です。
このコラムでは、事故をなくすための運転行動についてお話ししています。
今回は、これからの季節に増えてくる「薄暮の時間帯の交通事故」についてお話ししておきたいと思います。

視認性の落ちる時間帯

薄暮の時間というのは、日没の前後1時間、夕方の17時から19時の時間帯を指します。
警察庁の統計を見ても、死亡事故は1日の中で17時から19時台において最も多く発生しており、また、薄暮時間帯の月別死亡事故件数を見ると10月から12月にかけて最も多く発生しています。
平成30年から令和4年の5年間の統計だけでも、17時台の死亡事故件数は993件にものぼります(下図参照)。

薄暮の時間には、周囲が徐々に暗くなりはじめます。
薄暗くなってきた環境に目が慣れていないため、歩行者の発見が遅れてしまい接触してしまうのが、事故の大きな要因と言えます。
歩行者にとっても、車の運転者と同じように薄暮時間というのは視認性が落ちている時間です。
走行している車がライト(前照灯)を点けていなかったとしたら、自分と車両の距離感はうまくつかめないでしょう。
また、これからの季節の薄暮時間である17時から19時というのは、子供たちの登下校の時間帯にも重なります。
子供は危険感受性が低く、思わぬタイミングで道路に飛び出すことがあります。
視認性が落ちている時間帯に、突然飛び出してくる子供にとっさに反応してブレーキを踏むのは、非常に困難だと思います。

ライトを点け、構えブレーキを

10月以降の薄暮時間における、交通事故防止の運転行動として有効なのは、17時になったらライトを点けるということです。
「暗くなったから点ける」のではなく、17時になったら点けるように心がけてください。
対向車がいなければハイビーム走行をし、生活道路では制限速度を守り、学校や公園の近くでは構えブレーキで運転してください。
子供だけでなく、高齢者が横断歩道以外の場所を横断中に事故に遭うケースも多発しています。
スーパーや病院、公共施設等の近くを走行する場合も、同じように気をつけてください。

誰もが、交通事故の加害者にも被害者にもならない世界を、みなさんと一緒に創っていきたいと思っています。
意識をして、わずかな行動に移すだけで、防げる事故があります。
みなさんも普段の運転を再確認し、事故防止のためにできることを、1つでも良いので始めてください。

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執筆:上西 一美
株式会社ディ・クリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター

1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。

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