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【交通安全ニュース解説コラム】第40回 自転車事故の傾向を知ろう

みなさんこんにちは、ディ・クリエイトの上西です。
4月1日より、道路交通法第63条の11が改正され、自転車のヘルメット着用が努力義務化されます。
これまでは、13歳未満の子供にはヘルメットをかぶらせるよう保護者に対して努力義務が課せられていたのですが、4月からは自転車を運転するすべての人に対して努力義務化されます。これは、同乗する方(幼児等)についても同じです。
私は仕事柄、これまでに2万件以上のドライブレコーダー映像を見てきました。
自転車と車両の衝突事故では、自転車の運転者がハンドルを握りしめたまま自転車ごと転倒しているケースが非常に多く見られます。特に高齢になればなるほど、その傾向は強いように見受けられます。
ハンドルを握りしめていると転倒時に受け身が取れず、頭部を強打して致命傷を負ってしまうことがあります。ヘルメットを着用するだけで、致命傷を回避できる確率は格段に上がります。

死亡事故の約80%が交差点とその周辺で起こっている

私が交通安全サポーターを務めさせていただいている愛知県警察の統計では、愛知県下の自転車乗車中の死傷者数(H28からR2)は37,012人にもなります。このうち死者数は154人で、さらにそのうちの108人が高齢者の方です。この期間の高齢者の死傷者数は6,669人で、死亡率は1.6%でした。対して、高齢者以外の年代は死傷者数が30,343人で死者数が46人、死亡率は0.15%でした。高齢者の死亡率の高さがはっきりと見て取れます。
自転車乗車中の事故が多発している場所は、交差点及びその付近です。
154人のうち100人が交差点で亡くなっており、23人が交差点付近で亡くなっています。全体の79.8%が交差点及びその付近で亡くなられているのです。
特に生活道路の信号のない交差点では、気を付ける必要があります。
自転車の方も慣れた道で不用意に交差点内に進入してしまうことがありますし、車両を運転している方も、一時停止義務がなければ速度を落とすことなく交差点内に進入してしまい、出会い頭の事故を起こしてしまうケースがあります。一時停止義務がない場合でも、一時停止をするか十分に減速し(見通しのきかない交差点に進入する際には徐行義務があります)、安全確認をしたうえで交差点に進入するように心がけていただきたいと思います。

自転車運転者の約90%に違反行為あり

実は、亡くなった154人の自転車運転者のうち、82.5%にものぼる127人が何らかの違反をしていました。高齢者の方だけで見ると、89.8%の方に違反行為がありました。
もっとも多い違反は横断等禁止違反です。
横断してはならない場所を横断した結果、事故に遭ってしまったというケースです。
YouTubeの愛知県警察公式チャンネルで公開されている私の事故解説動画にもありますが、信号待ちをしている車列の間を抜けて通りを横断しようとする自転車が、その隣の車線を走行してきた車両にはねられるという事故が、よく見られます。
車両を運転している方は、隣の車線に停止車両が並んでいる場合には、自転車や人が横断して来るかもしれないと想定して、決してスピード超過することなく走行してください。
次に多い自転車の違反が、信号無視です。
自転車を使用するのは、そのほとんどが自宅からそう遠くない場所への移動のためだと思います。
つまり、慣れている場所です。

よく知っている場所であり、慣れているがゆえに、「これまで大丈夫だったから」「この辺りで事故に遭ったことはないから」という経験から、つい違反行為をしてしまうのではないかと思います。
車両を運転している人は、自転車事故の傾向を知り、事故を防ぐ運転をするように心がけてください。
自転車を運転する場合は、必ずヘルメットを着用するようにしてください。
そして、交通ルールはしっかりと守るようにしてください。

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執筆:上西 一美
株式会社ディクリエイト代表
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長
Yahooニュース公式コメンテーター

1969年生まれ。関西学院大学法学部卒業。大手企業を経て神戸のタクシー会社に25歳で入社。27歳からその子会社の社長に就任。その経験を元に、2004年ディ・クリエイトを設立し、交通事故防止コンサルティングを開始。ドライブレコーダーの映像を使った事故防止メソッドを日本で初めて確立し、現在、年間400回以上のセミナー活動をこなす。2万件以上の交通事故映像を駆使し、その独特の防止策で、依頼企業の交通事故削減を実現している。2019年よりYouTube番組『上西一美のドラレコ交通事故防止』を毎日更新中。

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