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第12回:個人のリスクに落とし込む

今回でこの連載も最終回となりました。
これまで、交通事故はなぜ起こるのか、現実的な事故対策とは何か、そして事故防止におけるドライブレコーダーの有効性についてお話してきました。
最後となる今回は、指導のポイントである「個人のリスクに落とし込む」がテーマです。

“自分事”にする

人は「自分がどうなるか」を考えないと、行動パターンを変えません。
ドライブレコーダーの映像を研修の教材として使用する時には、より多くの人が「自分もこういう運転をしているな。いつか同じ事故を起こしてしまうかもしれないな」と思うような映像の方が、運転行動パターンを変える効果がより出ます。

YouTube番組で取り上げた映像の中に、一般道の事故で、側面衝突されたドライバーが車外放出されるものがあります。衝突された側のドライバーはシートベルトをしていなかったのです。幸い3日後には退院できたのですが、シートベルトをしないと車外に飛び出てしまうという怖さがよく分かる映像です。

ドライバーの方のほとんどはシートベルトをしていますから、このような映像を見ても「自分はシートベルトをしているから関係ない」と考えてしまいがちです。でも、よく考えていただきたいのは、一般道でパートナーやお子さんを後部座席に乗せる時にみなさんがどうしているか、です。
日本では今は後部座席でもシートベルト着用の義務がありますが、検挙されるのは高速道路だけです。ですから、高速道路での後部シートベルトの着用率は70%を超えています。しかし、一般道では着用率が30%台にまで落ちてしまいます。

映像を見ながらイメージさせる

一般道でも、シートベルトをしていなかったために車外放出されて亡くなるケースは非常に多いです。
みなさんはタクシーに乗る時にシートベルトをしていますか? ワンメーターの距離だからいいやと思っていませんか?

僕の知り合いの20代の女性が、まさにこのような事故で亡くなりました。信号無視で進入してきた車が横から衝突し、後部座席のドアが開いて、そのまま女性は飛び出してしまったんです。そして中央分離帯に激突して即死でした。
その女性は3か月後に結婚式を予定していたのですが、僕は結婚式ではなくお葬式に行くことになりました。すでに籍を入れていた相手の男性が、人間というのはこんな声で泣けるのかと思うほどの声で泣いていて、今でもその声と光景が脳裏に焼き付いています。
その日以来、僕は後部座席に人を乗せる時にも全員がシートベルトをしたことを確認してからアクセルを踏むようにしています。
検挙されるからシートベルトをするのではないんです。
大事な人の命を守るために、シートベルトをするのです。

人は、自分事に置き換えた時に行動パターンを変えます。みなさんが指導をする時には、事故映像を解説しながら、運転者自身や同乗者の方々がどうなるのかをイメージさせながら話をしていただき、自分事に置き換えさせて行動パターンを変えるように促してください。
他人事のままでは、行動は変わりません。行動が変わらなければ、事故防止には至りません。

想定を増やすことが、事故防止につながる

コロナ禍の中で、セミナーや研修会の開催も制限されるようになりました。対面ではなくオンラインでの開催が増えています。オンラインでもやはり映像を見てもらうという事がとても重要です。
映像を見ると疑似体験ができます。その疑似体験は想定を増やします。想定が増えることで、ブレーキが少し早く踏めるようになったり、安全確認がきちんとできるようになったりと、運転の行動パターンが変わります。

事故というのは想定外の事が起きるという事です。ですから、想定を増やすと事故は減らせるのです。
ドライブレコーダーの映像を使用するのは、その点で非常に有効です。さらに言うと、研修で自社のドライブレコーダーの映像を使うと有効性がぐっと上がると思います。
講習の時間がなかなか取れないのであれば、映像を見続けるだけでもある程度の効果は期待できるので、会社としてやりやすい方法で、映像をより多く見る機会を増やしてください。

安全を守れる会社は、社会からの信頼も得られます。何より、仲間である社員たちの人生が守れるのです。
誰もが悲惨な交通事故の加害者にも被害者にもならないために、ぜひドライブレコーダーを使用した事故防止に取り組んでいただきたいと思います。

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