Case Study

導入事例

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Maruzen Showa

Nauto Safety Stories: 前方不注意による事故が0件に――丸全昭和運輸が挑む「AI×安全文化」の革新

  • 丸全昭和運輸株式会社
  • 物流品質管理部 理事 飯岡 剛 氏 、物流品質管理部 蔵本 雅 氏、物流品質管理部 堀内 淳次 氏、 平塚営業所主任 井上 高幸 氏、 ドライバー 井上 祐輔 氏

物流業界において、安全の確保は企業の存立を左右する最優先事項であり、社会に対する最大の誠実さの証明です。しかし、どれほど厳格な教育を施しても、人間である以上不注意や慣れを完全に排除することは困難でした。総合物流企業として業界をリードする丸全昭和運輸様は、この根源的な課題に対し、AIドライブレコーダー「ナウト」を導入。テクノロジーを駆使して見えないリスクを可視化し、安全管理を精神論から科学的プロセスへと進化させる道を選びました。

導入の結果、同社では毎年発生していた前方不注意による事故が「0件」になるという驚異的な成果を達成。さらに不安全行動のリスクを80%削減するなど、組織全体に劇的な変化をもたらしました。ナウトは今や単なる監視デバイスではなく、乗務員のプライバシーを守りながらその生命とキャリアを支える「お守り」として現場に定着しています。本事例では、AIがいかにして高水準の安全品質を実現し、強固な安全文化を醸成したのかを詳らかにします。

  • 導入の背景(課題)
    • 人による安全指導の限界
    • リスクの未顕在化
    • 脇見運転による事故急増
  • 導入の決め手
    • 脇見・眠気の高い検知精度
    • 熟練者と一致するAI分析
    • 大型車対応とプライバシー
  • 導入効果
    • 前方不注意事故が年間0件
    • 特定リスクを80%削減
    • 現場を守る「お守り」の確立

【動画】丸全昭和運輸様 インタビュー

人による運用の限界を超え、見えないリスクを詳らかにする

物流業界における安全管理は今、大きな転換期を迎えています。「物流2024年問題」に伴う労働環境の整備と、改善基準告示の遵守が求められる中、安全性の向上は単なる事故防止に留まらず、企業の持続可能性そのものを左右する戦略的課題となっています。丸全昭和運輸様では、長年添乗指導や安全衛生会議といった人的リソースを注いだ教育を徹底してきました。しかしスマートフォンの普及や道路環境の複雑化により、従来の注意喚起という精神論的なアプローチだけでは、見えないところで進行する不安全行動のリスクを完全に制御しきれないという危機感がありました。

この課題に対し、物流品質管理部の蔵本雅氏は、2019年からAIテクノロジーの可能性に着目していました。当時の葛藤と導入の狙いについて、蔵本氏は次のように語ります。

――導入の経緯、狙いはなんでしょうか。

蔵本氏:当社ではこれまでも点呼や安全講習、熟練指導員による添乗指導など、考えられる限りの安全対策を講じてきました。しかし、業界全体でながらスマホや脇見運転に起因する重大事故が絶えない現状を目の当たりにし、人による運用だけで更なる安全を追求することに限界を感じていました。特に、新名神高速道路などで発生した悲惨な事故のニュースを見るたび、「明日は我が身ではないか」という強いプレッシャーを管理側として抱いていたのです。

物流品質管理部 蔵本 雅 氏

実は、2019年に一度ナウトのトライアルを実施したことがありました。当時はその有効性を認めつつも小型車のみの対応だったため全社導入は見送りました。しかし、2023年9月に大型車への対応が完了したと聞き、即座に再検討を開始。2024年1月の本格導入へと舵を切りました。

狙いは、AIの眼を借りることでこれまでブラックボックス化していた「居眠り」や「ながらスマホ」といったリスクを詳らかにすること。そして、リスクを予兆の段階で顕在化させることで乗務員自身、その家族、そして会社を事故の脅威から守り抜く「強固な防具」としての仕組みを構築することにありました。

検知精度の高さとベテラン指導員の眼に代わるAIスコア

安全管理機器の選定において、最も回避すべきは「現場の不信感」です。誤検知が多いデバイスは乗務員に過度なストレスを与え、最終的には形骸化を招きます。丸全昭和運輸がナウトを最終的に選定した理由は、その圧倒的な検知精度と、熟練指導員の評価と寸分違わぬスコアリングの納得感にありました。

――数ある選択肢の中で、最終的にナウトを選んだ決め手はなんでしたか?

蔵本氏:決め手は、脇見やスマホ操作、そして眠気に対する検知精度の圧倒的な高さです。特に驚かされたのは、時速20km/h以下の低速走行時でも、スマホ操作やメーターのわずかな注視を正確に判別できる点です。従来の製品では見逃されがちだったこの領域のリスクを捕捉できることは、事故の未然防止において決定的な差となります。

また、ナウトが算出する乗務員の安全スコアは、良くも悪くも当社の熟練指導員の見立てと見事に一致していました。AIが危ないと判断する箇所が、プロの眼から見ても「確かにここは危険だ」と納得できる。この客観的かつ正確な指標があるからこそ、管理者は自信を持って指導に臨め、乗務員も自身の運転を素直に省みることができます。

加えて、運用面の効率化も大きな要因でした。ナウトの正確なスコアリングにより、これまで多大な時間を要していた添乗指導がほとんど不要になりました。さらに不安全な挙動があった時のみリアルタイムで管理者に通知が届き、動画を確認できる仕組みは、監視ではなく必要な時だけ手を差し伸べるというプライバシーへの配慮を可能にしています。

事故件数0件への劇的改善と運行管理の高度化

導入後、丸全昭和運輸が手にした成果は、数字の面でも運用の質の面でも、当初の期待を上回るものでした。物流品質管理部の若手リーダーである堀内淳次氏は、ナウトがもたらした多角的なインパクトを次のように総括します。

――ナウト導入によってどのような効果が得られましたか。

堀内氏:最大の成果は、過去10年間で平均5件程度発生していた、「書類を見ていた」などの前方不注意に起因する事故が0件になったことです。AIによって自身の運転特性が100点満点のスコアで可視化されたことで、特定の不安全行動は約80%も削減されました。

また運行管理の高度化にも大きく寄与しています。管理者のPC画面上でリアルタイムに走行状況や休憩・休息の取得状況が把握できるため、改善基準告示の遵守を徹底する上でも非常に有効なツールとなっています。

特筆すべきは、健康起因によるリスク発見です。普段100点を出し続けている極めて優秀なドライバーのスコアが、ある時期を境に急激に不安定になったことがありました。不審に思い面談を行ったところ、本人も自覚していなかったSAS(睡眠時無呼吸症候群)の兆候がスコアに現れていたのです。即座に受診とシフトの調整を行い、重大事故に繋がるリスクを未然に防ぐことができました。

さらに、事故やクレームが発生した際の初動対応も劇的に速まりました。従来のドラレコでは該当シーンを特定して動画を引き出すのに多大な時間がかかっていましたが、ナウトなら発生から10分程度で高画質な映像を確認できます。このスピード感は、警察への証拠提出や荷主様への報告において、計り知れないメリットとなっています。

監視への戸惑いからお守りとしての定着へ

新しいテクノロジーの導入に際し、現場の反発は避けられません。丸全昭和運輸様でも、当初は「常に見られている」「一挙手一投足に点数を付けられる」という心理的ストレスが懸念されました。この壁をどのように乗り越え、いかにして「お守り」という認識まで変えたのか。管理側の井上高幸氏とドライバーの井上祐輔氏の声から紐解きます。

――従業員の方からはどのような反応がありましたか?

井上高幸氏(管理者):導入当初の1ヶ月ほどは、現場にピリピリとした緊張感が漂っていました。一部からは「常に監視されているようで息が詰まる」といった反発の声もあり、正直に言って管理者としても心苦しい時期がありました。しかし実際に運用が始まり、スコアとして自分の運転が可視化されると流れが変わりました。自分では無意識だった「メーターの注視」といった小さな癖が、不安全運転の予兆として通知される。それを自分の目で動画として確認することで、誰もが納得感を持って運転を正し始めたのです。数週間もすればデバイスの存在は当たり前のものへと馴染んでいきました。

井上祐輔氏(ドライバー): 最初は正直、嫌でした。でも実際にハンドルを握ってみると、ちゃんと前を見て安全に運転していれば、ナウトは何も言わない。むしろナウトのスコアは自分のプロとしての運転を客観的に証明してくれる味方だと気づいたんです。100点満点を出し続けることはゲームのような楽しさもありますし、何より万が一の事故の際、自分が正しく運転していたことをデータで守ってくれる。今では私たちを不当な疑いや事故から守ってくれる「最強のお守り」だと思っています。

ドライバー 井上 祐輔 氏

AI映像を最高の教材に

AI検知をプロの目で教材化。記録を「事故を防ぐ教訓」に変え、安全を加速させる。 

丸全昭和運輸にとって、ナウトによる事故0件の達成はゴールではありません。同社は、AIから得られる膨大な映像とデータを教育の質を向上させ、企業価値を高めるための「最高の教材」として位置づけています。物流品質管理部理事の飯岡剛氏と堀内氏が描く、未来へのビジョンは極めて明確です。

――今後、安全運転対策をどのような方向に進化させたいとお考えですか。

飯岡氏:今後は、ナウトのスコアをベースにした、頑張っている乗務員が適正に報われる透明性の高い評価制度をさらに強固なものにしていきます。

また、自社内で実際に起きたヒヤリハット映像や逆にベテランが見せたファインプレー(模範的運転)の映像は、外部のどんな教材よりも説得力があります。これを全社で共有することで、他にはない最高品質の安全教育を実現したい。現在、丸全昭和運輸グループ全体で100点満点のドライバーはまだ5%程度、90点以上が15〜20%という状況です。まずはこの1年以内に、90点以上のドライバーを30%以上にまで引き上げることを具体的な目標として掲げています。

私たちの安全品質を高めることは、荷主様への信頼、そして地域社会の交通安全への貢献に直結します。ナウトという共通言語を通じて、組織全体のレベルを底上げし続け、物流業界の新たなスタンダードを構築していきたいと考えています。

本気で乗務員を守りたいすべての組織へ

飯岡氏:「うちはベテランが多いから大丈夫」「事故は少ない方だ」という過信こそが、実は最大のリスクかもしれません。私たちもAIを導入して初めて、表面化していなかった潜在的なリスクがどれほど潜んでいたかを思い知らされました。

安全指導の属人化に悩んでいる、あるいは乗務員への評価を公平にしたい。そう考えている経営者や管理者の皆様に、ナウトは即効性のある価値をもたらします。「乗務員を」「その家族を」そして「自社を」本気で守りたいと願うなら、先端技術を味方につける勇気を持ってください。

取材協力: 丸全昭和運輸株式会社 (https://www.maruzenshowa.co.jp/)

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