Case Study

導入事例

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Nauto Safety Stories – テンパール工業株式会社 ナウト導入で見えない課題を可視化。データを活用したさらなる展開に期待

  • テンパール工業株式会社
  • 取締役社長
  • 伊藤 豪朗 氏

テンパール工業株式会社
取締役社長
伊藤 豪朗 氏

あわや大事故の事案発生
ドライブレコーダー導入を検討

− 御社の事業内容を教えてください。

伊藤氏) 2021年でちょうど創業70年。配線用遮断器、漏電遮断器、住宅用分電盤等を扱う専業メーカーです。売上は年間100億円を超え、中国地方を中心に全国のビル・戸建て・マンション等へ展開しています。中国電力のグループ会社でありながら、独自の「テンパール」ブランドを持ち、ものづくりに誇りを持っている企業です。全国25カ所に営業拠点があり、107台ある営業車両のすべてにナウトを導入しています。

− これまで御社ではどのような安全運転指導を行っていたのでしょうか?

伊藤氏) 「業務上車両運転者認定」制度を設けており、交通安全に対して強い意識を持ち認定資格の交付などを行っていました。しかし、資格というのは一度取ったらそれきりで、更新があるわけではありません。
実際のところ、あまり実効性が感じられていないという状況でした。また、安全衛生管理というのは、結局どれだけ時間とコストをかけるかが重要で、どちらの手を抜いても成り立ちません。どちらかを怠ったことで事故につながり、結果的に事後対応の時間や賠償金・保障費などで大きな負担がかかってしまう。そうならないために、きちんと時間とコストをかけて、地道に安全運転指導に取り組んでいきたいと考えています。

− ナウトで初めてドライブレコーダーを導入したとうかがっていますが、導入を検討したきっかけは何だったのでしょうか?

伊藤氏) 最近は若い社員のなかにペーパードライバーが増え、「車に乗るのは仕事のときだけ」という人も少なくありません。社員が一人で移動することも多いため、このままでは少し不安だなと感じていたところ、数年前に若手社員が高速道路で事故を起こしました。豪雨で道路も通行止め寸前のなか、携帯電話の操作が原因で運転をし損ねてスリップしてしまったのです。不幸中の幸いで大事に至らなくて済みましたが、一歩間違えれば死亡事故になってもおかしくない状況でした。その際に、事故前後のシチュエーションや管理者の事故後の対応を見て、安全管理や指導の内容がいかにも不十分であると感じ、「これは抜本的に手を入れないといけないのでは」と注力し始めたことがきっかけです。管理者が常に同乗・同行するわけにもいかず、最終的には社員一人一人の自覚に頼るしかありません。自助努力だけで安全管理のレベルを上げようと思っても限度があると思っていたときに、ナウトのサービスを知りました。

事故の未然防止効果に期待
今後の継続的指導にも活用

− ドライブレコーダーの導入にあたって、他社の製品もご検討されたと思うのですが、ナウトを選んでいただいた決め手は何でしたか?

伊藤氏) 何社かの製品を見させていただいた中で、やはり事故の未然防止という意味ではナウトが一番活用できるのではと思いました。通常のドライブレコーダーですと、事故が起こった後に対策を考えたり原因究明したりと後手後手の対応になってしまうのですが、ナウトは事故が起こる前の危険なアクションに対してアラートを鳴らすことによって、事故自体が起きるのを回避できる。実は、危険予知というのは親会社も一番力を入れているところです。私が中国電力にいたとき、事故件数があまりに多いので、本社に報告不要で現場止まりになっている物損事故も含めてすべての事例を取り寄せ、社内で分析させたことがあります。すると、特定少数の人間が毎年のように事故を起こしていることがわかりました。しかも全員40代の社員で、若手のように指導を仰ぐ立場でなく、個別での管理が求められる世代だったのです。そういうこともありましたので、ナウトのようなサービスがあると、ドライバーの年齢、運転経験、運転場所など一人一人のスキルや特性を見ることができ、指導を個別に積み重ねていくことができるのではないかという期待がありました。いずれ人事異動があったときも、異動先の事務所の管理者にこれまでの情報を共有するような体制を整えたいと考えています。組織全体で活用できれば、ドライバーの継続的な指導も可能になりますから。

− ナウトを効果的にご活用いただいてありがとうございます。導入していただいて約一年、成果を感じていることがあれば教えてください。

伊藤氏) もともと事故件数が少なく、2021年1月からの導入で短期間ということもあって、まだ具体的に事故が減ったというデータは出ていません。ですが、レポートの数字を見ると、わき見運転などの危険運転行為は少しずつ右肩下がりになっています。危険運転行為の推移グラフを見ても、効果が出ているなと感じますね。最初はインカメラが付くことにより、導入に否定的な声もありましたが、今では現場に定着してきたのだと思います。

− 営業拠点の皆さんにもナウトへの理解が進んできたということかもしれませんね。安全についての意識を高く持っている方が多いのでしょうか。

伊藤氏) 中国電力のグループ会社の営業車両は地域の方から厳しい目で見られることは多いです。危険運転につながる行為をしたり、駐車禁止エリアに車が停めてあったりすると、すぐに会社へお電話をいただきます。ところが、当社の名前を知られていないエリア・地域では、“見られている”という意識がどうしても低くなってしまうのが課題です。「電気と暮らしを安全につなぎ続ける」という企業理念を持ちながら、安全への意識が足りず事故を起こしていてはどうしようもありません。“安全・健康・コンプライアンス”、この3つをきちんと守るというのが企業活動のベースであるということを親会社からも常々言われていますし、そこはやはり揺らいではいけないし、妥協してもいけないところですね。

運転経験の浅い社員の様子も
リアルタイムで注視できる

− 伊藤社長から、具体的に各営業所へ交通安全についてのメッセージを発信していらっしゃるのでしょうか?

伊藤氏) そうですね、常日頃から結構厳しく言っています。被害事故や自損事故も含め、事故件数ゼロは依然として未達成ですから、起こった後に管理者がどう対応していたのかという点は細かく指摘しますね。もし本当に人身事故になってしまったら大変なことですから。コロナ禍以降、広島市内でも車の交通量が非常に増えています。当社も2020年の春に自家用車通勤を許可したところ、20人ほどが車で出社するようになりました。交通量が増えているうえ、エリア内の事業所が少ない東北や北関東の社員は、片道2、3時間運転することも珍しくありません。そこを運転経験の浅い若手社員に一人で運転させるのは、やはりリスキーですよね。そういう意味で、インカメラで車内の様子を常時見られるというのは、管理者側からすればとても助かります。ある意味、ずっと目を離さずにいられるので、そこの安心感は非常に大きいと思うんですよね。日常的にうまく使って、なくてはならないツールになってほしいと思っています。

− ありがとうございます。実際に、ナウト導入以降で指導の精度は上がったように感じられますか?

伊藤氏) ナウトをうまく使って部下の指導をきっちりできている管理者もいれば、まだうまく使いこなせていない者もいる、二極化傾向にありますね。管理者としてまずやってもらいたいことは、日々部下の安全運転に対する動機づけをすること。そして、それを通じて管理する側のスキルも上げていってほしいんです。そうでなければ、組織的に安全管理をしようと思ってもなかなかうまくいかないと思うので。現時点ではまだまだ管理者の力不足を感じますが、これから伸びていくポテンシャルがあるということでもある。管理職研修等でも厳しく指導しながら、今後に期待したいと思います。

− 当社としても、事故防止や安全運転指導にさらにご活用いただけるよう、今後もサポートさせていただきたいと思います。

伊藤氏) ぜひ、お願いします。当社は30代以下の社員が1/3ほどを占めており、若手が日々営業に飛び回ってくれています。“営業活動に負担がない運転”を実現させたいと思っている次第です。これからナウトのさらなるバージョンアップに期待していますし、それに応じて我々社員もバージョンアップしていかなければいけないと考えています。

安全運転にもより高い意識を

− 最後に、安全運転に対する思いやメッセージをお願いいたします。

伊藤氏) 会社にとって安全を確保するということは非常に重要なことですが、技術的なことだけでなく、先ほども申し上げたように社員の姿勢も地域の皆さまに見られている、そういう立場です。そこで働く社員が、一般の方と同じような安全意識でいては困りますし、それは車の運転に関してもいえることです。今やっとナウトによって、目に見えない問題が見えるようになり、今まで取れなかったデータが取れるようになりました。ビッグデータやAI分析を活用すれば、管理者のスキルに関わらず実際の映像を資料として、具体的にどこを改善したらいいかを指導できる。そういった意味でもAIドライブレコーダーは非常に有効だと思いますし、大いに期待しています。まず事故を起こさないことが基本、もし事故が起こった際はきちんとフィードバックをしていく。そうして全体的にうまく活用していければ、ドライバー個人のスキルアップや会社の安全意識の向上に、相当な効果を得られるのではないでしょうか。

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