導入事例
2020.10.08
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Nauto Safety Stories: 株式会社エス・ティー・エス ー ドライバーの安全を第一に守る。ナウトの導入で事故減少効果を実感
- 株式会社エス・ティー・エス
- 代表取締役
- 篠﨑 勝則 氏
社内で独自の監査チームを発足
連帯感を持って事故ゼロに取り組む
- 御社の事業内容を教えてください。
1968年に創業、冷凍・冷蔵食品を主力とする食品配送を主に請け負う運送事業です。神奈川県大和市の本社をはじめ、神奈川、埼玉、千葉、茨城、静岡県内の計10カ所に事業所を設け、冷蔵車、冷凍車、加温車など、お取引先様のニーズに合わせた多種多様な車輌をグループ全体で約350台保有。従業員はグループ全体で約450名在籍しています。
- 2019年12月から「ながら運転」、2020年6月から「あおり運転」が厳罰化され、車の運転に対する社会の目はより厳しくなっています。御社のこれまでの安全運転への取り組みや課題を教えてください。
弊社では、2004年に安全衛生活動の改善を狙いとした安全運行プロジェクトチーム「SD(Safety Drive)チーム」を発足させました。全日本トラック協会や国土交通省の監査とは別に、社内監査の役割を担うチームです。年に3回のペースでSDチームが各営業所を回り、運転台帳や日報などの帳票類の点検や、時間管理のチェック、その他営業所内で問題がないか所長や従業員への聞き取りなどを実施しています。コンプライアンスの順守、売上・粗利・経費など適切な収益の管理、事故件数とそれに伴う損害金、それらすべてに点数を設定。各営業所で決めた目標点数に達しているか年間で評価し、目標を達成できていたらその営業所には報奨金が渡されます。社内監査チームを機能させ、減点方式ではなく達成できたことを評価する制度を設けることで、「事故を1件でも減らす」ことに各営業所が連帯感を持って取り組んでくれ、良い循環になればと思っています。
- 安全への意識は以前から高かったということですね。機材の面でいうと、以前からドラレコ(ドライブレコーダー)やデジタコ(デジタルタコグラフ)などは導入されていたのでしょうか。
ドラレコはほぼ全車両に導入しています。弊社では冷凍・冷蔵食品など低温貨物輸送が多いため、デジタコについては主にお客様のご依頼で温度管理が必要なときに導入してきました。ドラレコも一部装着していますが、通信型ではなく、実際に事故が起きたときに衝撃で録画ができていなかったり、以前車両火災事故が起こった際にはドラレコ内のSDカードが燃えてしまって、データを取り出せなかったことがありましたね。
最も怖いのは居眠り運転
ナウトで事故を未然に防ぎたい
- 現在御社で運行しているトラックにナウトを導入していただいています。ナウトのどのような点を評価していただき、導入に至ったのでしょうか。
一番魅力を感じたのは、居眠り運転やわき見運転に反応してくれる点です。私は自動車の運転で一番怖いのは居眠りだと思っています。トラックに乗って居眠り運転をしてしまったら、最悪の場合、総重量25トンの車がノーブレーキで突っ込むことになる。確実に命の危険がありますよね。ドライバーの運転の技量に関係なく、居眠りやわき見などで視線や注意がそれたときがもっとも危険だと考えています。スピード超過であればデジタコで検知できますし、最近は一般乗用車にも衝突軽減システムが標準装備されるようになりました。ですが、それに比べれば視線がそれたことにアラートを出してくれるような機器はまだ少なく、特にトラック向けにはまだまだ開発が進んでいません。居眠りで完全にまぶたが下がったときに反応するような機能が欲しいなと思っていたので、初めてナウトの話を聞いたときに、これはいいな、とピンときました。
- ありがとうございます。やはり御社のように、居眠り運転・わき見運転の防止を目的としてナウトを導入していただく企業様は多いです。
世間を騒がすような重大事故は、お金を払っても解決できることではありません。わき見運転をして最悪の場合死亡事故を起こしてしまえば、すぐテレビでニュースになって、画面に会社の名前が大きく映し出される。そうなればお客様からの信頼も下がって会社の存続にかかわります。ドライバーも業務上過失致死・致傷などで検挙されて名前まで報道されてしまう。ドライバーの安全を守る意味でも、事故防止につながる設備は積極的に導入したいと思っています。
ドライバーを守るAIレコーダー
トラックへの導入義務化を望む
- ナウトを導入するにあたって、従業員の方とはどのようなコミュニケーションをとっていたのでしょうか。
導入直後は「いつもドライバーが運転している様子を見ている(監視している)のですか?」と警戒するドライバーもいました。休憩中なども常に録画されているのかと思われていたので、運行管理者が「あくまで危険な運転を検知したときのみで、休憩中は録画されていない」ということをきちんと説明し、納得したうえで使用してもらっています。居眠り・わき見だけでなく、たとえば運転中、ドライバー自身も気づいていない病気の症状が出て意識が朦朧としてしまった、そのときにナウトのアラートが鳴ることによって意識が戻るということも考えられますよね。何度も同じようなアクシデントが続くようであれば、そのドライバーの病気や体調不良にも気づけるかもしれない。結果的に、ドライバーを守ることにつながるわけです。「何のためにナウトをつけているのか、それはあなたのためにつけているんだよ」ということを従業員にはきちんと説明して、理解してもらったうえで有効活用してもらえれば、一番理想的だと思っています。
- 他社様の事例では、ナウトを1年間運用して事故が減り、今年度の自動車保険の更新で保険料が30%下がったというご報告をいただいています。今後御社でも同様の効果がきっと出てくるのではないかと思います。
実際にナウトを導入した効果は出ていまして、現時点でもらい事故の防止には十分役立てられていると感じています。弊社で最初にナウトを5台導入した際、過去5年で数回程度の事故歴がある従業員数名に積極的に活用しました。導入後は、そのうち1人も事故を起こしていません。これは偶然ではなくて、確実に事故防止効果があることの証左であると考えています。
- 実際にナウトを導入してみて、運送業におけるAIレコーダーの必要性についてはどのように感じていらっしゃいますか?
極端なことをいえば、すべての運送トラックに導入してほしいくらいです。メーカーの自動ブレーキや衝突軽減システムもやっと標準装備が広がってきましたが、正直なところ遅いなと感じています。「自動車NOx・PM法(自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法)」など環境保護に関する取り組みは進んでいますが、トラックがノーブレーキで突っ込む危険への対策はまだまだなされていません。もちろん環境を守ることも大切ですが、もっと運転の安全性を高めることも注視してほしいと思っています。企業ごとの自助努力だけでは限界があるので、AIを使った技術革新によって居眠り運転・わき見運転を減らすことができれば、悲惨な事故もなくなっていくはず。とはいえ、企業規模によっては機器の導入にそこまでコストはかけられませんから、できることなら国や全日本トラック協会の指導でAIレコーダーの標準装備を義務化し、相応の補助をしてほしいと思います。我々もいつ加害者・被害者になるかわかりませんから。
コロナ禍で運送業の負担増
感染対策と業務遂行の両立
- 新型コロナウイルスの流行で、御社の業務に変化はありましたか?
2008年のリーマンショックの際にも弊社の主力である食品輸送の仕事は減らなかったので、やはり食品輸送は不況に強いのだと実感していましたが、今回のコロナ禍でそれをより強く感じています。弊社はおかげさまで食品や日用品、生活雑貨などの消耗品を扱うことが多いので、景気の波には左右されにくく、安定した輸送をさせてもらえることはありがたいですね。ただ、逆に言うと日々の運行を止められないというプレッシャーも強い。コンビニやスーパーへの配送を日配で契約しているので、従業員が感染することで輸送が止まってしまう場合のリスクは非常に大きいです。
- 御社ではどのような感染症対策を行っているのでしょうか。
基本的なことではありますが、従業員のマスク着用の徹底。まだマスクが手に入りにくかった時期に複数の業者へ手配して、合計1万3千枚ほど確保しました。コストはそれなりにかかりましたが、会社としてもマスクが配れないという事態は避けなければいけないと考えたので、いち早く用意しています。他には、消毒のための次亜塩素酸水、飛沫感染予防のビニールシートなどを各営業所に設置しました。弊社の業種はドライバーがワンマンでトラックを運転していることが多く、電車通勤をしているスタッフもあまりいません。ドライバーは積み込み・積み下ろし以外は基本的に一人で対応する作業が多いこともあり、比較的密になりにくい労働環境というのも感染予防に役立っているのではと思います。
- 物流業界のお客様はコロナ禍でさらに業務が増え、配送先での感染リスクを抱えながらも使命感を持って仕事をされているドライバーさんが多いと感じています。感染予防をしながらの過密なスケジュールという負荷の大きい状況が続くなか、ナウトを通して皆さんの業務効率化をサポートさせていただきたいと思います。
もちろん、コロナ禍で一番大変なのは第一線で働いている医療従事者の方々です。しかしながら、おっしゃるとおり我々運送業の負担も相当なものになっています。その中でもきちんと感染予防をしながら、安全第一で日々の業務を進めていきたいと考えています。
取材協力: 株式会社エス・ティー・エス (http://www.sts-c.co.jp/)