Case Study

導入事例

18

Nauto Safety Stories – 大阪センコー運輸株式会社 悲しい事故を二度と起こさないために。ナウトでドライバーの安全管理を。

  • 大阪センコー運輸株式会社
  • 代表取締役社長
  • 八巻達也 氏

大阪センコー運輸株式会社
代表取締役社長
八巻達也 氏

業務中の重大事故を契機に
ドラレコの重要性を痛感

- 御社の事業内容を教えてください。

八巻氏)当社は、大阪府高槻市に本社を置く物流の総合企業です。全国161の会社で構成されるセンコーグループのうちの1社で、京阪神を中心とする関西一円を対象に、自動車運送事業、軽貨物配送事業、倉庫事業、住宅物流事業などに取り組んでいます。

- 安全運転指導に関して、御社ではこれまでどのような取り組みをされてきましたか?

八巻氏)定期的に社内で安全運転の講習会を開催しているほか、ドラレコの検知で急制動等が認められたドライバーへの個別指導や、新人や事故惹起者に対する添乗指導、事故事例の共有などを都度実施していました。しかしながら、課題が多かったのも事実です。ドラレコはSDカードに記録するタイプのもので、リアルタイムでの映像確認は行えませんでした。そのため、事故が起きてしまった場合にもドライバーが帰社するまで実態を把握できず、当事者同士の証言も信憑性、客観性の観点では十分とは言えなかったのです。また、添乗指導の際には安全管理者が助手席に乗り「いつもと同じように運転して」と促すのですが、横で見られているのですから、ドライバーは教習所でするようなお手本通りの運転をする。それでは指導のしようがありません。従来のやり方では不十分だと感じる点が多々ありました。

- AIドラレコを導入しようと考えたきっかけは何だったのでしょうか?

八巻氏)2020年6月に起きた重大事故です。当時入社2か月だった新人ドライバーが運転するトラックと、自転車を運転していた高齢者の方との接触事故が発生しました。当時のドラレコに残っていた事故時の映像を警察に提出したところ、解像度が低く、動画はコマ送り。「本当にこんな動画しか残っていないのか?」と、警察の方に驚かれてしまったのです。原因究明に大きく影響するドラレコの重要性を改めて感じ、何より、もう二度と事故の被害者も加害者も出したくないという強い思いから、より性能の高いドラレコの導入を検討するようになりました。

前方の衝突事故がゼロに
指導の手間も大幅に削減

- さまざまなAIドラレコがある中で、ナウトのどんな点を評価していただいたのでしょうか?

八巻氏)一番は、ウェブ上での運行管理がしやすいことです。ウェブ画面で車両の運行状況をリアルタイムで確認でき、SDカードを取り扱う必要もない。動画を確認したいときには膨大なデータの中から目的の箇所だけを簡単に抽出できるので、従来導入していたドラレコと比較して管理者側の時間と手間が格段に減りました。

- 導入後、事故件数に変化はありましたか?

八巻氏)前年比で、全体の事故件数が3割減少しており、特に前方の衝突事故は0件になりました。信号が替わってから発進する際の追突事故が毎年必ず発生していたのですが、それもなくなり、車両が大破するような大きな事故も皆無です。

- 課題とおっしゃっていた運転指導についてはいかがでしょうか。

八巻氏)こちらも非常にやりやすくなりました。各営業所に55インチのモニターを設置し、点呼時にナウトのイベント画面を映して確認し合うことで、運行管理者とドライバーが対話する際の材料となっています。また、イベント発生時には車内外の様子をすみやかに確認できるので、「添乗指導では普段の運転姿勢を把握できない」という問題も解決しました。

- 従来の安全教育の資料としても活用いただいているとうかがっています。

八巻氏)センコーグループでは、以前からHHK(ヒヤリ・ハット・気づき)やKYT(危険予知訓練)の指導を行っています。指導用に現場写真を用いた紙ベースの資料を作成しているのですが、以前は安全管理者が現場まで撮影しに行く手間がかかっていました。ナウトを導入したことで、運行記録の中から現場写真を容易に抽出できるようになり、管理者の負荷が大きく減っています。また、イベント動画を「動画KYT」の題材として安全会議で使用しています。やり方としては、動画を流し、危険行動の直前に一旦止め、「この後、何が起こると思う?」と安全管理者がドライバーに問いかけています。実際の映像なので説得力があり、指導の精度が上がったと感じています。現在は、ナウト専用の教育指導記録の独自様式を作成。実際の録画映像を様式に落とし込み、以前から実施していた「ひとりKY訓練」にも活用中です。当社の安全教育・啓蒙に欠かせないツールになっています。

事故やクレームに迅速に対応
安全運転の意識向上にも寄与

- ナウト導入に際して、御社内での理解はスムーズに得られましたか?

八巻氏)社内で検討した際は、一部で「従来のドラレコがあるので不要なのでは」という意見も上がりました。それでも安全管理の責任者が「絶対に必要なものだ」と熱弁し、私も二度と悲しい事故を起こさない、起こさせないために、事故を未然に防げるなら投資すべきと考え、ナウトの導入を決行しています。

- ありがとうございます。ドライバーの皆さんとはどのようなコミュニケーションを取られたのでしょうか。

八巻氏)車内カメラがあることで、「監視されているように感じる」と抵抗感を持つ者も少なくありませんでした。そのような意見に対しては、監視ではなく管理改善のためのツールであること、そして、もしものときに活用できるものだということをしっかりと伝えています。実際、事故が起きたときの検証にも役立った事例があります。接触事故が起きた際、相手の方が「センコーの車がぶつかってきた」と主張されていたのですが、車内カメラの映像を抽出して確認したところ、当社のドライバーはむしろ避けようとしていて、向こうの方からぶつかってきていたことがわかったのです。相手方の過失割合が大きくなり、保険金の額にも大きく影響することとなりました。

- 映像の抽出が容易にできることで、事故後の対応もスムーズだったということですね。

八巻氏)はい。事故だけでなく、クレーム対策になった事例もあります。大阪センコーの看板を背負っていると、一般の方から、運転マナーに関するお問い合わせを受けた場合には、迅速かつ適切な対応が求められます。そのような時に、電話を受けてすぐにナウトで地図から検索し、映像を確認すると、何も違反行為などしていないことがわかる。ドライバーが帰社するのを待つまでもなく、その場できちんと否定して解決できるので「クレーム対応が迅速にできて助かる」と、運行管理者から聞いています。ナウト導入当初は抵抗を感じていたドライバーたちからも徐々に理解を得られ、最近ではドライバー間で映像を確認して注意し合うような場面も見受けられるようになりました。社員の安全意識の高まりにも役立っていると感じています。

運転に取り組む姿勢が
事故の未然防止につながる

- 御社では、ベラスコア(ナウト独自の採点方法)の数字も安全運転の啓蒙にご活用いただいているとうかがっています。

八巻氏)各営業所に設置したモニターに、全ドライバーのベラスコアの推移を一覧にして毎週掲出しています。ドライバーの名前と点数、前週からの改善率などを記載しており、1週間のランキングは紙に出力して各営業所に配布もしています。順位を発表することでドライバーの競争意識が高まり、また営業所ごとに色分けしているので、各営業所が一丸となって安全運転に取り組めているようです。最初のころは60点や70点台を出す者も多かったのですが、導入から2か月で全体の平均点数が90点台と大きく伸びました。現在は目標点数を97点、最低ラインを90点に設定し、「80点以下は赤点」と指導しています。

-非常に高い水準でベラスコアを維持なさっているんですね。

八巻氏)実際に、現在ランキングの下位にいるドライバーは過去に事故を起こしている者が多く、事故予備軍といっても過言ではありません。一方で、過去に小さな事故を起こして大いに反省し、それ以降はずっと上位にランクインしているドライバーもいます。ランキングの順位によって待遇を変えたり賞罰を与えたりするようなことはしていませんが、今後評価の参考にすることも検討しています。

- 最後に、安全運転に対する御社の思いを改めて教えてください。

八巻氏)キーワードは“未然”です。事故を未然に防ぐためには日ごろの運転姿勢が大切で、その姿勢は指導で変えられると思っています。ドライバーには、採用面接の時点で「うちは安全運転に関しては厳しいし、『大阪センコー』の看板を背負っているという覚悟がないと、働くのは難しいよ」と伝えています。今後も事故の被害者、加害者、それぞれのご家族の想いを決して忘れることなく、交通社会の模範となるようなドライバーを育成し続けていきたい。そのためにも、ナウトを活用した安全運転指導により一層力を注いでいきたいと思います。

記事一覧へ