導入事例
2024.11.20
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Nauto Safety Stories: 株式会社カントウ流通 ー ナウト導入でドライバーの意識向上 社を挙げて安全運転に取り組む
- 株式会社カントウ流通
- 管理部部長
- 東根正和 氏
対策してもなくならない事故
保険料が増えていき危機感が募る
- 貴社の事業内容を教えてください。
東根氏)弊社は、近畿圏で食品配送を行う運送会社です。生鮮品、ドライ品、日配品まで、あらゆる食品配送を得意としています。アイスクリームや各種医療機関に向けた医療食など、非常にデリケートな温度管理・輸送管理を求められる食品も取り扱っている点が弊社の特徴です。現在、約90台の配送用トラックを所有しており、そのすべてにナウトを導入しています。
- 貴社では、2022年初頭からナウトを導入いただいています。導入のきっかけは何だったのか、教えていただけますか?
東根氏)弊社はもともと事故件数が少なく、あったとしても車体をこすった程度の軽微なものばかりでした。しかし、2020年に双方に責任がある事故ではありましたが、重大事故が発生。安全が行き届かなかったことに大いに反省をしています。その後、会社一丸となって安全対策に本当に全力で取り組みました。しかし、翌年は追突事故が多発し、「しっかりと安全運転講習を行っていても、従業員が入れ替わっていく中で会社全体の安全運転の意識が下がっていた。それが具現化されたのだ」と気づかされました。事故を起こした従業員に当時の状況を聞くと「伝票を見ていた」「ポケットから落ちたスマホを拾おうとした」などと答えますが、車内の様子は見えないので、実際のところはわかりません。当時、弊社の山田大介社長は「トラック運転手という職業は、会社から監視されないプライベートな空間が一つの魅力であり、それを求めて仕事として選ぶ人も多いはず」と長らく信じていたため、車内を録画するドラレコを使用していなかったのです。しかし、事故が相次いだことから社長もその方針を変えることを決意。「このままでは、近い将来必ずまた重大事故を起こす」と危機感を抱いたと聞いています。折しもその頃、既にナウトを導入していたクライアントから「よく活用していますよ」と紹介していただき、社長の決定で導入をスタートしました。
段階的にナウト車載機を導入
手本を示して社内に浸透させる
- 導入時、ドライバーの皆さんからの理解はすぐに得られましたか?
東根氏)社長としては、車内撮影可能なドラレコを導入することで、反発して退職する者もいるかもしれない、と覚悟していたそうです。しかし、実際の退職者はいませんでした。導入にあたって、「この仕事は法令遵守が原則であること」、そして「車内をずっと映していても、ドライバーが危険なことをしない限りナウトは反応しないこと」をきちんと伝えていましたし、段階を経て導入を進めたことが功を奏したと考えています。
- どのような段階を踏んでいったのでしょうか?
東根氏)弊社のドライバーは配達品目ごとにグループ分けされており、その中でも医療食品担当のグループはコンプライアンス遵守意識を特に高く持っています。そこで、まずはそのグループが運転する車両に限定して導入を行いました。彼らは運転中にスマホを操作したり、わき見をしたりすることも少ないので、危険行動を知らせるアラートはあまり反応しません。「通常通り運転していれば問題ない」ということを社内に示すことができました。そのようなお手本を見せておくと、自身の運転でアラートが鳴るようになったときに「自分では気づいていないが、運転中の悪い癖があるから気をつけよう」とドライバー本人も気づくことができます。こうした取り組みを地道に続けることで、「ナウトは運転時の危険行動を親切に教えてくれる機械だ」というイメージを少しずつ浸透させることができているのでは、と考えています。
事故を起こしたドライバーにも
再起の道を与えるのが人材育成
- 最近の貴社の運行データを拝見すると、「ドライバーの顔が認識できない車載機」の割合が、月間でわずか5%に留まっています。これはドライバーがサンバイザーを下ろしたとき、たとえば録画に拒否感を持ってわざと下ろす場合なども考えられるのですが、5%という割合は非常に低い印象です。
東根氏)その5%も、サンバイザーを下げることを許可した上での数値です。本来は日光や反射が眩しいときに下ろして使う、つまり安全のために使うものなので、本来の用途で使うのは全く問題ありません。「必要以上に下げて使うのはやめなさい」という指導はきちんとしているので、低い水準に収まっているのだと思います。
- ベラスコア(ナウト独自の運転リスク評価方式)も、導入時と比べて向上しています。1年前までは100点満点中84点ぐらいが平均的でしたが、ここ数カ月では月平均90~92点で推移しています。
東根氏)走行中のわき見運転による事故は、2024年に入ってからは一度も起きていません。ナウトは2.5秒以上のわき見でアラートが鳴るようになっていますが、おそらく2.5秒わき見をしない人間は、1秒もわき見をしないでしょう。以前と比べるとわき見の検知自体も大幅に減っており、良い変化を感じられています。一方で、今年度は狭い道で通行人を避けようとして電柱にぶつかるという、単独事故が1件発生しています。事故を起こしたのはまだ若いドライバーですが、事故後にきちんと反省し、弊社の常務取締役が直轄で安全運転指導を行ったことで運転態度も改善。以前より、表情も引き締まり良いドライバーになってきました。一度失敗したドライバーをダメだと切り捨ててしまえば、この業界からは人材がいなくなってしまいます。どのように再起させ、活躍できるようになるかを考えて指導する、それが人を育てるということだと思います。
- おっしゃる通りです。その人材育成に、ナウトも貢献したいと考えています。
東根氏)まさに、ナウトは安全運転指導に役立っていますよ。山田社長は、「ナウトの設置を嫌がる人間は雇えない」とすら思っているほど。実際に、ナウトで危険運転を検知して指導し、それでも改善が見られないドライバーに対して、安全確保のため出勤停止を命じた例もあります。2カ月に1回、社内で行う安全講習では、ナウトが自動的に検知した映像や画像を使用していますが、危険行動を検知した部分だけを抽出して確認することができるため、大変便利です。以前使っていたドラレコは、すべての運行データの中から該当部分を自力で探し出さなければいけなかったので、運行管理者にとっても非常に負荷がかかっていました。そこを解消できたことも大きいと感じています。
ナウトの導入・運用が
安全運転への意思表示に
- 安全面において、ナウトを非常に効果的に活用していただいていることが伝わってきました。改めて、貴社の安全運転への意気込みをお聞かせください。
東根氏)弊社では、今まで取り組みを始めた安全対策のうち、やめたものは一つもありません。どの取り組みが今日までの安全につながっているのか、正直なところわからないですし、「これだけやれば安全だ」という対策はないからです。ナウトに限らず、安全対策は真面目にやるほど効果が出やすいと思うので、今後も全社一丸となって取り組んでいきたいですね。費用についても、ナウトを全車両に導入することでコストはかかるものの、事故にまつわる費用が全体として下がるのであれば、トータルでプラスになると弊社は判断しました。実際に、統括運行管理者の常務取締役は、「(ナウト導入コストの)元を取った」とよく言っています。
- 運用を続ける中でそう言っていただけるのは、大変ありがたいことです。
東根氏)ナウトは、映像がきれいな点もいいですね。こういった機械は、言い逃れができてしまう仕様ではあまり効果は期待できません。車内も車外も、逃れられない事実をしっかり映して示してくれるのもナウトの利点だと思っています。危険行為以外にも、車内が整理整頓されているかも見ることができるので、運転姿勢の評価もしやすくなるんです。実は、現在試験的にナウトを人事評価制度の項目に加えていて、「特定の期間内でナウトの検知数を数回までに抑えられているか」をひとつの評価基準としています。項目が加わったことで、ドライバーもより安全運転に真剣に取り組むようになりました。今後もナウトを活用し、安全運転に前向きに取り組む姿勢をお客様や同業者にも示していきたいと思います。「ナウトを導入している」ということが、お客様にとっての安心材料のひとつになっていけば嬉しいですね。
取材協力: 株式会社カントウ流通 (https://www.kantou-ryutsu.jp/)